【第二話】

53/97

3444人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
「ま、儲かるには儲かるんだけども、職業柄、良質な人間関係を築きにくいってのが問題なんだよなァー」 ゴロリとカーペッドの上に寝転がり、小太郎君はそう呟く。 「だからよォ。何だかんだ言いながらも、こうして普通にオレと接してくれてるおにーちゃんのことは、割と本気で気に入ってんだぜ?」 「……そりゃ光栄だ」 「なんならこのままオレと付き合うか? そうすりゃ、この宿泊も完璧に合法だ。ひひっ」 「冗談は止めてくれ」 大人びた様子を見せる時があれば、子供らしい一面を見せる時もある。 言動全てが支離滅裂。 話していても、話している気がしない。 故に、これ以上、まともに話しているのが馬鹿らしくなってきた。 「俺は年上が好みなんだ。ホラ、ベッド貸してあげるから、君みたいな子供は、大人しくさっさと寝るんだな」 「今の告白、結構本気だったんだけどなー」 俺は――目を逸らした。 これ以上、この不気味な人間と関わり合いたくなかったから。 「告白なら、もう少し女の子らしくなってから出直してこい」 「女の子らしさって何?」 それ以上、俺は応えなかった。 ――――――。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3444人が本棚に入れています
本棚に追加