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ベランダから、DDの住む城の明かりが見える。
アイツも、高級ソファーに優雅に座り、紅茶でも飲みながら、俺のこのボロアパートを見ているのだろうか。
そんな下らないことを考えながら、もう一度大きく白い息を吐く。
「…………なぁ、DD」
『無理よ』
皆まで言う前に、バッサリと切り捨てられた。
『京介。貴方が鴉麻小太郎の境遇や考え方を知って、何か思うことがあったということくらいは、察しがつくわ。それなりに長い付き合いだもの』
「…………」
『でも無理よ。貴方が何をしようとも、鴉麻小太郎はどうにもならない。あの子は、もう終わってる。外れる所まで外れてしまっているわ』
事実を述べるだけのような淡々とした声が、俺の耳を切り裂いてくる。
「……まだ何も言ってねぇよ」
『だから言う前に忠告してあげたのよ。くれぐれも、余計な行動を起こさないように。貴方はただ、鴉麻小太郎が去るまで大人しくしていればいいの。能動的で愚かな行動は慎みなさい』
「酷い言われようだな」
『馬鹿は根気強く言ってやらないと聞かないでしょう?』
心配しなくても、何か発言する前からそこまで全否定されたら、起こす気もなくなるっつーのに。
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