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俺を取り囲むかのように控えている黒服達が、今にも飛び掛かってきそうな様子を見せたが、江本がそれを制する。
まぁ、自分達の親分が、こんなガキに舐めた態度を取られてるんだもんな。黒服達が苛立つのも当たり前か。
「……そうですね。沢木さんのご都合も考えず、大変失礼致しました」
――ではお言葉通り、早速話を進めさせて頂きましょう。
江本の顔に張り付いた笑顔は、まだ消えない。
「内容は、まぁ、小太郎君についてだよな」
「えぇ。貴方が鴉麻万凶と接触していることは既に調査済みですので」
接触……ねぇ。
「"接触"だなんて他人面してくれてるけどよ。俺が小太郎君と関わっちまったのは、そもそもアンタ等が原因っつっても過言じゃないんだが」
「それに関しましては、返す言葉もありません。私の浅はかな思慮のせいで、組の人間を失うことになったのは、胸が引き裂かれる思いですので」
「じゃあ、どうするってんだ? まさか、小太郎君に復讐しようだなんて考えてるんじゃないだろうな」
「おや、お話が早くて助かります」
驚愕。
江本との間に、沈黙が流れる。
「……本気で言ってるのか?」
「はい」
「小太郎君の見事な返り討ちにあった人間の発言には思えないんだが……正気かよ」
「至って正気だとすれば、どうでしょうか?」
「馬鹿げてる」
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