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「隠れて後をつけ、奴の"仕事"をこの目で直に見ました。……アレは、プロの技なんて綺麗なものじゃない。常軌を逸しているという言葉すら生温い」
気が付けば、江本の笑みは――、
「――只の化け物じゃないですか」
恐怖に戦慄するかのように青ざめていた。
「何故あんな人間が堂々と街中を闊歩できるのですか。化け物が当たり前のように暮らしているこの街で――どうして貴方がたは普通に日々を過ごすことができるのですか」
「…………」
「私には、それが理解できません。理解――したくもありません」
この鞍柘市がどうしようもない程狂ってることを。
そこに住む人間も十二分にイカれてることを。
こいつは――江本は、感じとってしまったのだろう。
「私は全てを察しました。鞍柘市に足を踏み入れたのは愚かな行動でしかなかったということを。自分は、とんでもないものと関わってしまったのだということを」
「じゃあ、どうするつもりなんだ?」
「恥ずかしい話ながら、鞍柘市から今すぐにも撤退をします。プライドをかなぐり捨てて、地元に逃亡しようと思っていますよ」
仮にも暴力団の人間がそんな恥ずべき台詞を吐くとは。
余程切羽詰っていることが伺える。
だが、
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