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「それだと、さっき言ってた復讐に繋がらないじゃねぇか。……それに、だったら、どうしてアンタ達は小太郎君に手を出したんだ? どうして彼女の依頼料を踏み倒すような真似をしたんだ?」
彼女にこれほどの恐怖心を持っているのならば、尚更。
「そこまでご存知だったのですか。――いえ、それに関しましては、私も予想外でして」
ふぅ、と江本の口から重い嘆息が漏れた。
「組の若い衆の独断による仕業です。情けない話ですが、組の中には、鴉麻万凶の仕事を見て怖気づいてしまった私を軽蔑する者もいましてね」
「……尻尾巻言って逃げるのは、暴力団のポリシーに反するってか」
「仰る通りです。勇敢と無謀は違うということも理解せず、奴等は私に意向に反発し、愚かにも鴉麻小太郎を逆に仕留めようとしました」
「だが結果は……」
「えぇ、返り討ちです。そして、それが大きな問題になってしまったわけでして」
神妙な面持ちのまま、江本は続ける。
「私の管轄外だったということは言い訳になりません。若い衆の愚行は、鴉麻万凶にとって、鷹峰会の総意によるものと認識されてしまっているでしょう」
「……まぁ、そうだな」
いるでしょうというより、完全に小太郎君はそう認識してたし。
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