【第二話】

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「伝わらないならハッキリ言ってやる」 【葵】を構えたまま、江本を見据える。 「アンタ達程度の人間が、小太郎君を殺すのは無理だ。自殺行為でしかない。今すぐ、思い直せ」 「……それでは、我々に大人しく鴉麻万凶の報復を受けろと言うのですか?」 「そういうわけじゃない。とにかく、無謀な行動は慎めというだけだ」 「では、どうしろと?」 「さぁな。だが、彼女がプロだということはつまり、行動の根本は単なる営利目的になる。誠心誠意謝罪して、いくらか金を積めば今回の件を水に流してくれるかもしれない。違うか?」 「否定はできませんが、あまりに確証が薄いですね」 「だったら、俺が仲介役を買ってやってもいい。これでも、結構彼女に気に入られたみたいでね。俺なら、その辺を巧く取り合えるかもしれない」 「…………」 「それが嫌ってんなら、冷静な判断が出来るようになるまで、しこたま電流を喰らわせてやるよ」 その脅しに江本は、しばしの空白を置き大きく肩を竦めた。 心底残念そうに。 「……あくまで邪魔をなさるおつもりですか」 「違うな。引き留めてやるんだ。お前等が馬鹿な真似をしないように」 ――そうですか。と苦笑交じりに言葉を漏らす江本を見て、妙な違和感を感じた。 そうだ。 そういえば。 何故だ。 おかしい。 何故こいつは、まだ悠長にソファーに座ってられるんだ? ものの数秒で、3人――この場にいる黒服の半分を気絶させてやったんだぞ? だというのに、どうして江本はこんなにも余裕でいられる。 他の黒服も、特に慌てている様子も――――、 そこまで考えた時だった。
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