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◇ ◇ ◇
住宅街を見下ろす至高の塔。
高さ四百メートル長のタワー型モンスターマンションは眼前で眺めると圧巻の一言。
AinSophAur
【000】
詠ねえと歩いて十分弱。別れてから更にバスに乗ること十五分強。ようやくまみえた終着駅は、相も変わらずふてぶてしく、否が応でも旧約聖書のアノ塔を想起させた。
まぁ名前はカバラの神秘なんだけどさ。
さておき。
さっさと中に入ってしまおう。いつまでも外にいたら冷えること冷えること。
整頓されたレッドカーペットを申し訳なさそうに進み、スライド式の自動ドアを潜り抜け、玄関ホールに到着する。
マーブル
眼程に飛び込む輝く石
壁も床も天井も、この空間を惜しげもなく覆う純白の大理石。淡い暖色の光に包まれたその姿は神々しくもどこか牧歌的で決して入場者を威圧しない。
大理石の床を緩慢に進む。
十秒程で行き止まりに差しかかった。
閉ざされた観音開きの扉。
良くあるタイプのセキュリティーロックだ。
俺は扉の隣に据え付けられた四方形のディスプレイにそっと触れる。
【01112】
画面上の数字を定められた順番で押していき、最後にコールボタンに指を添える。
『はい』
数コールの内に主は出た。涼しげな声。取り澄ました顔が目に浮かぶ。
いよいよ、か。
覚悟を決めて、おもむろに口を開く。
「DD、俺だ」
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