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「人のプライバシーを侵して楽しいか」
「知る権利があるもの。いや、逆ね」
“あなたには公開する義務がある”
「違うかしら?」
上っ面の笑顔でDDは反駁する。
繕いやがって。
「はっきり言ったらどうなんだ? 奴隷に私生活はありませんって」
「奴隷だなんて自分を卑下しちゃダメよ。あなたと私は清く対等なパートナー。優劣なんて存在しないわ」
「へぇ。清く対等なパートナー? じゃあ……この【携帯電話】はなんだよ!」
銀色の携帯電話を突きつける。
今やすっかり馴染んでしまった“犬の証”。
「メールの送受信、電話の着発信、ついでにインターネット通信まで! 俺の携帯ライフは全部全部お前に傍受されている! 受信フォルダを開いただけでお前に情報が送られるんだぞ。ボタン操作の一つ一つまで記録されている! ……やって、られるかっ!」
怒鳴る! 叫ぶ! がなる!
しかしこんな恫喝なぞDDには塵芥程の効果もない。だってこいつはいつでも俺を“殺せる”のだから。
負債総額二億円の債務者と手綱を握る債権者。
俺と彼女の関係はあまりにも汚く、そして遠い。
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