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「詠ねえはこれからどこへ? 大学で勉強か?」
「んー……半分正解かな。大学には行くけど講義は受けない」
「じゃあ、何しに?」
サークル活動の類だろうか。進学していない身分としてはどうにも興味深い話だ。
大学は勉強以外に何をするんだ?
「教授にねー」詠ねえは大儀そうに、
「講義してあげるの」
「……………………はっ?」
教授に? 講義を? シテアゲル?
「詠ねえってさ」
「うん」
「今年十九だよな」
「三月でね」
…………一年生じゃん。
「この前経済学の授業で適当なモデルケースにオリジナルの公式を作って遊んでたら、担当の教授が『それは何だね』ってしげしげ眺めてきたの。それでとりあえず論理的に矛盾の無い答えをでっち上げたら『これはとんでもない大発見だ』とか騒いじゃってさぁ」
「高々冗談にマジになっちゃって馬鹿じゃないのアイツ」とぶぅたれる詠ねえ。
ぶっ飛んでんなぁ。
容姿にしろ、髪色にしろ、スペックにしろ相変わらず桜蕊詠はぶっ飛んでる。
朝焼けに煌めく桃色のサイドテールのなんと眩しいこと。
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