【第二話】

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「人間をそこまで卑下して捉えて、ニヒルを気取るのはそんなに楽しいか?」 「あァ? なんだなんだ。やけに突っかかってくるじゃねェか、おにーちゃん。言っただろ? これは時間を潰すのが目的の他愛もない思考ゲームなんだぜ? そんなに躍起にならなくてもいいじゃねェか」 確かにそうだ。 まったくもって、全面的に小太郎君の言う通りだ。 けれども。 やはり。 どうしても、俺は神様なんてものを認めるわけにはいかない。 認めたくない。 これは意地だ。下らなくて醜い、ただの安いプライド。 だって。 だって神様は、葛城杏奈を救ってくれなかったから。 彼女を、殺してもくれなかったのだから。 「……あぁ。やっぱ可愛いなァ、おにーちゃんは」 「……は?」 ふいに、隣の小太郎君の口から溜息が漏れた。それは、風船の空気が抜けるかのような、あまりに脱力的な嘆息だった。 「近年稀に見る愚直さだ。だけど、それがいい。一部のコアなマニアックが、涎垂らして喜ぶレベルだ。愚かで真っ直ぐな人間は、存在だけでも価値がある」 「何を急に――」 「なぁ、おにーちゃん」 開こうとした俺の口が、小太郎君の人差し指によって止められる。 「じゃあさ、こうしよう。質問を変えるぜ」 小太郎君の笑みは――消えない。
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