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……さて。
とはいえ、驚いてるだけでは何も解決しない。
コホンと咳払いをし、俺は口を開く。
「あーっと、こんばんは」
「おぉ。挨拶返してくれるのか。おにーちゃん、良い人だな」
「それほどでも。……で、アンタ」
「あ?」
「殺人は犯罪だぜ?」
「知ってるよ、そんなこと」
即答された。
しかも案外普通の受け答えだった。
「知ってたのか」
「当たり前だ、馬鹿にすんなよ。鼻ったれのガキでも知ってる社会のルールだからな」
「じゃあ、その人は生きてるのか?」
「あ? コレのこと?」
ガッと、少年は足元に転がる男性の身体を、乱雑に蹴った。
いやいや、サッカーボールじゃねぇんだから。
「死んでるに決まってるだろうが。このオレが壊したんだぜ?そりゃ死ぬさ」
「もう一度言うけど、殺人は犯罪なんだぜ?」
「知ってるっつってんだろ、うるせェな」
おかしいな。
どうにも話が噛み合わない。
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