【第一話】

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「そういう京介こそこれからどこに? 夜型の君が早朝からお出かけなんて珍しいじゃない?」 「あぁ……」 うん。そうだよな。俺もそう思う。 本来ならばこの時間は、俺の大事な熟睡タイム。 仕事終わりの疲れを熱いシャワーで洗い流し、肌触りの良い白シーツとアイダーダックの羽毛布団に包まれながら夢心地。濃密で温柔な時間を存分十全に満喫して、気づけば身も心もリフレッシュ……。 「……リフレッシュの筈だったんだ」 あんなメールさえなければ。 【受信メール一件】 2/12 6:15 from DD sub 今から 本文 家へ来なさい ――――――――――― 忌々しいメール、可愛くなくて憎さだけが百倍の毒メール。 無視したい。すっぽかしたい、眠りたい。 「ねぇ京介、京介の行き先ってひょっとしたらDDのとこ?」 「残念なことに」 認めたくない現実を苦々しく噛み締めながら首肯する。 Eメールを開いた瞬間に俺の安穏は終わったのだ。 無視なんて出来ない。 シラなんてきれない。 嘘なんて論外だ。 一度【メールを開いた事実】を作ってしまった以上、奴の【目】は全てを見通す。 DDはごまかしの通じる相手じゃない。
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