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「さてと、おにーちゃん。椅子にも座ったことだし、そろそろ本題と行こうか」
誰が椅子だ、オイ。
「俺としては、アレだ。人を殺してる姿っつーある意味自慰よりも恥ずかしい現場を見られちまったわけだし、おにーちゃんにはとっとと死んでもらって、是非とも土産話として土の下に持って行って欲しいんだが。どうだ?」
やっぱそうなるよな。
それが普通の展開だ。
「断る」
「だろうな。じゃあ、どうする? 命乞いでもしてみるか?」
「効果はあるのか?」
「さァな。全てはオレの気分次第さ。――まァ、醜く命を乞うくらいなら、いっそのこと潔く諦めるってのも格好良いと思うぜ? 男は生き様よりも死に様だ」
「この歳で、そんなに劇的に人生を終わらせたいとは思わねぇよ」
「つーか、おにーちゃんみたいな人間が、このまま生きててやりたいこととかあるのかよ? 夢も希望もなく無気力にだらだらと生き続けるくらいなら、最期にパッと花咲かせてみようぜ」
「アンタ、何気に失礼だな。てか俺、そんな風に見えるの?」
「鏡見たことないのか?」
「…………。い、いや、確かに俺には、明確なやりたいこととかは無いかもしれない。だがその代わり、何というか、やらなければならない使命はあるんだぜ?」
「おぉ、急に格好良いじゃねェか。何ソレ?」
「借金返済」
「…………」
「ちなみに金額は2億とちょっと」
「…………いや、うん。やっぱ殺してあげるよ、おにーちゃん。今、楽にしてやるから」
「急に同情するなよ」
「悪かったよ」
「謝るな!」
「ひひひっ!おにーちゃん、やっぱ面白ェなァ」
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