【第二話】

16/97

3444人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
「さてと、おにーちゃん。椅子にも座ったことだし、そろそろ本題と行こうか」 誰が椅子だ、オイ。 「俺としては、アレだ。人を殺してる姿っつーある意味自慰よりも恥ずかしい現場を見られちまったわけだし、おにーちゃんにはとっとと死んでもらって、是非とも土産話として土の下に持って行って欲しいんだが。どうだ?」 やっぱそうなるよな。 それが普通の展開だ。 「断る」 「だろうな。じゃあ、どうする? 命乞いでもしてみるか?」 「効果はあるのか?」 「さァな。全てはオレの気分次第さ。――まァ、醜く命を乞うくらいなら、いっそのこと潔く諦めるってのも格好良いと思うぜ? 男は生き様よりも死に様だ」 「この歳で、そんなに劇的に人生を終わらせたいとは思わねぇよ」 「つーか、おにーちゃんみたいな人間が、このまま生きててやりたいこととかあるのかよ? 夢も希望もなく無気力にだらだらと生き続けるくらいなら、最期にパッと花咲かせてみようぜ」 「アンタ、何気に失礼だな。てか俺、そんな風に見えるの?」 「鏡見たことないのか?」 「…………。い、いや、確かに俺には、明確なやりたいこととかは無いかもしれない。だがその代わり、何というか、やらなければならない使命はあるんだぜ?」 「おぉ、急に格好良いじゃねェか。何ソレ?」 「借金返済」 「…………」 「ちなみに金額は2億とちょっと」 「…………いや、うん。やっぱ殺してあげるよ、おにーちゃん。今、楽にしてやるから」 「急に同情するなよ」 「悪かったよ」 「謝るな!」 「ひひひっ!おにーちゃん、やっぱ面白ェなァ」
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3444人が本棚に入れています
本棚に追加