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「ま、正解。おにーちゃんの言う通りだ。ここで会ったのも何かの縁。殺す前に、おにーちゃんにちょっくらお願いしたいことがあってね」
顔は見えないが、きっと彼はニヤリと笑っているんだろうな。
「ってことで、今から一つだけ質問するぜ。答え次第で、アンタの人生が続くか、それともここで終焉するかが決まるから、くれぐれも慎重に答えるこった」
「それがそのお願いとやらに関係あるのか?」
「まァな。それじゃ、聞くぜ。……おにーちゃんってさ、」
「?」
「何処に住んでんだ?」
……ん?
あれ?
ちょっと身構えた割には、あまり大した質問じゃなかったな。
そんなのでいいのか?
「白樺荘っていう、築5年のアパートだ。ちなみに広さは8畳」
「そうかそうか。――で? そいつは何処にある?」
「何処?」
「"どの区"にあるのか、って聞いてんだ」
「あぁ、そういうことか。中区だよ」
「……中区? 中区だァ?」
その途端、急に後頭部の髪を鷲掴みされた。
そして無理矢理、首と背筋を捻られ、背中の少年へと顔を向けさせられる。
強引過ぎるだろ。ギブ、ギブ、
「おいおいおいおいおいおいおい。よりにもよって中区だとォ? 中区っつったのかよ、おにーちゃん。ってことは、アレか、"中心街"か。あの永世中立のクソッタレな区に身を置いてやがんのか、アンタは」
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