【第二話】

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 ◇  ◇  ◇ 行政特区【鞍柘市】。 この街は、8つの区によって構成されている。 【北区】 【南区】 【西区】 【東区】 【南東区】 【南西区】 【外区】 【中区】 8つの区が、各々の特徴を持ち、各々の特徴を生かして、各々の発展を遂げ、各々の在り方を続けている。 今、俺と少年が仲睦まじく会話を繰り広げているこの場所は【南区】であり、そして、俺の住家やどこぞの魔女の城(という名のマンション)があるのが【中区】である。 その名の通り、街の中心に位置する区――通称【中心街】。 「お気に召さなかったか?」 「いんや、逆だ。最高だぜ。怖い程に好都合だ」 意外なことに、少年の声は、心なしか少し弾んでいるかのようだった。 と。 ふいに、背中の圧迫感が消え去った。少年が俺の背からのいてくれたのだと気が付くまで、数秒。 「良かったな、おにーちゃん。アンタはまだ殺されないぜ。俺の都合と気まぐれで、運よく生き残りの賭けに勝ちやがった」 「は、ぁ?」 彼の言ってる意味がよく分からないが、とりあえず背中を押さえつけるモノが無くなったので、立ち上がってみる。 お気に入りのジャケットに着いた砂埃をパンパンと叩き落とし、顔を上げると、そこには―――
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