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「しかしこの場合、俺も捜査の対象になるのかな」
自然と口から嘆息が漏れる。
「だろうな。何せ、犯人を匿おうとしてるんだ。これ以上ないほど立派な共犯者だろ」
「匿わないと殺す、と脅されてるだけの善良市民だぞ」
「責任転嫁するなよ。オレはそんなこと言ってねェ。匿えば殺さないでおいてやるって勧めただけだ」
「同じだろ」
「ニュアンスが違うさ」
ひひっ、と。もはや聞きなれてしまった小太郎君の笑い声が、耳に飛び込んでくる。
笑い声だけで聞けば――何処にでもいる、普通の少年なのに。
今俺の隣にいるのは、あの電光掲示板に流れる事件の張本人なのか。そう考えると、実に不思議というか。奇妙というか。現実離れしているというか。
「まァ、つっても、特に心配する必要はねェだろ」
「すいぶん楽観的だな」
「そりゃァ勿論。所詮、全部、"あの区"で起こったことだからな」
「……それもそうか」
小太郎君の言うとおりかもしれない。
ニュースという形で報道されているとは言え……本当に俺や小太郎君が警察に追われるという展開に至ることは、ほぼ有り得ないだろう
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