【第二話】

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情報力や技術力が集中した【区】や、資源や自然が集中した【区】等々。その特徴は様々。 計8つの全ての【区】を一つずつ詳しく紹介していきたいところだが、それはまた別の機会に。 ―――ともあれ、俺と小太郎君がつい1時間程前までいた【南区】。すなわち、小太郎君による殺人が行われた区には、一体何が集中したのか。 それを一言で表すのであれば――そう、      【暴力】 人間社会にとって有害でありながら、社会構成に必要不可欠であるという矛盾を孕んだ存在――暴力団。 鞍柘市に存在するその本部のほとんどは、【南区】に置かれている。 また、学を持つことが出来ずアウトローの道へと進むことになった人間も、【南区】を居住地とする。その他の理由で、所謂"表社会"を生きることが出来なくなった人間は【南区】へと流れ着いてくる。 ここでは、"強さ"さえあれば、他には何も要らない。 強ければ、生きていける。 生き残れる。 逆に舐められれば――終わり。 まさに、極道の世界の根源。 闘争、抗争、威嚇、牽制。 それらが全てが日常的に行われる。 鞍柘市における犯罪発生件数トップを誇る。 【暴力】というものに惹かれ、魅かれ、引き込まれた人間のみが繁栄する場所。 人間社会の裏の部分、黒い部分、暗い部分の集合体こそが――この【南区】。 鞍柘市で、最も危険な地帯なのである。
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