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「ご主人様だァ? なんだ、おにーちゃん、そういうプレイが好きなのか?」
「何一つ違ぇよ。……言っただろ。俺には借金があるって。その返済のために、とある悪魔の元で奴隷のようにこき使われる日々を送ってるわけだ」
「あー、成程。奴隷、奴隷ねェ。まァ、よくあることだ。精々無理せず頑張れよ」
特に深くまで聞きこむわけでもなく、只ケタケタと笑うだけで、小太郎君は軽くスルーしやがった。
お前から聞いてきたんだろうが、お前から。
「もう少し大きいリアクションを期待していたんだが」
「あん? 同情でもして欲しかったか、下らねェ。昨今の日本の教育システムは、奴隷生産ラインみてェなもんだろうに」
「捻くれてるな」
「捻子曲がっているのさ」
小太郎君が小気味よくそう答えたところで、ようやくバスは目的地に停留した。
我が家の最寄りのバス停。
……といっても、歩いて十分ほどかかるけれど。
料金を電子マネーで支払い、小太郎君と共に降車。
なんだか、久しぶりの地面な気がする。地味に遠く、長かった。
「いやしかし、そりゃ災難だったな。お使いだけのつもりで来たのに、まさかこんなことになるとは思わなかったろ?」
「アンタがそれを言うか。……まぁ、俺としても、それなりのトラブルやイレギュラーには耐性があるつもりだったんだけど。今回で、見事にそれが壊されたな」
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