【第二話】

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夜道を小太郎君と並んで歩きながら、軽い会話を交わす。 既に深夜だからか。周りには俺達以外の人間の姿はなく、不気味な静寂に包まれていた。 ただ、俺と小太郎君の声、そして二人の靴とアスファルトが擦れる音が響くのみ。 「あ。そういえば、俺も聞いておきたいことがあるんだけどさ」 「何だい、おにーちゃん」 突発的な俺の投げかけに、小太郎君は首を傾げながら応える。 二人の足は、止まらない。 「小太郎君、確か、訳あって追われてる――とか言ってたよな。それで、図々しくも俺の大事なプライベート空間に匿われようとしてるわけだ」 「言い方に棘があるなァ、オイ」 「不本意ながら、もう俺は君と無関係じゃない。別に懇願までするつもりはないけど、その辺の事情を教えてくれてもいいんじゃないか?」 こうなった以上、俺にも、現状を知る権利や必要があると思うのだ。 「んー」 対する小太郎君はというと、眉間に皺をよせ喉を唸らせていた。 迷っている、悩んでいるというより――面倒くさがっている、そんな類の表情だった。 「おにーちゃんよォ。オレ、一応殺人犯だぜ? そんな奴の事情を進んで聞こうとするなんて、普通は有り得ないんじゃねェか?」 「時には好奇心を優先してみることもある」 「……ま、おにーちゃんがいいならいいけど」 ふぅ、と肩で息を漏らし、『どっから話せばいいかなー』と頭を抱えていたが、数秒の後、 「じゃあ、おにーちゃん」 「ん?」 「――【壊し屋】って名前に聞き覚えはないか?」
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