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◇ ◇ ◇
「おにーちゃん、シャワー貸してくれ、シャワー」
我が家に踏み込むやいなや、真っ先に小太郎君が口にした言葉がそれである。
「こう見えてもオレ、結構汗クセーと思うんだわ。やっぱ、せっかく宿に泊まるわけだし、サッパリしたいじゃん?」
「それを言うなら、血生臭いの間違いじゃないのか? ……まぁ、いいよ。好きに使ってくれ」
「サンキュー……って、おォ!マジか!ユニットバスじゃなくて、ちゃんとセパレートタイプじゃねェかよ!流石おにーちゃん、分かってるゥ!」
浴室の方から、歓喜の声が響いてくる。
……何この子。どうしたの?
急に凄いテンションの上りようなんだけど。
「風呂とか布団とか、リラクゼーションに必要なものには、手を抜かない主義なんだよ、俺」
「そいつは最高だ!なァなァ、おにーちゃん!風呂沸かしていい? 湯船でゆっくりしてェよ!」
目を輝かせながら、そう訴えくる小太郎君は……うん。
先ほどまでの、ニヒルな笑みが似合う、捻くれものな彼とは大違いで。ギャップが激し過ぎて。
もう、俺としてはタジタジだ。
「あ、あぁ、いいよ。……というか、蓋開けてみな。今日は予め、湯張りを予約設定しておいたから、もう風呂は沸かされてるはずだけど……」
「ホントだ! よっしゃァァァ!おにーちゃん、愛してるぜ!」
小太郎君は着用していた大きなコートを脱ぎ、それを俺へと放り投げてきた。![image=453839001.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/453839001.jpg?width=800&format=jpg)
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