【第二話】

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「じゃあオレが風呂入ってる間に、ソレ、洗濯しといてくれ」 「いっそ気持ちが良いくらいに図々しいな、オイ」 「あァ。大事なモンだから、くれぐれも慎重に丁寧にな」 「この返り血べっとりの代物が……か?」 「んじゃ、よろしく!」 バタン。と勢いよく、脱衣所の扉が閉められる。 コートを受け取った両手が、既に真っ赤に染まってしまっていることに肩を落としながらも、俺は洗濯機と向き合った。 「――と言われてもなぁ」 うーん。 コートって、どうやって洗えばいいんだっけか。普通に、洗濯機に突っ込んじゃっていいのか。 それとも、まずは揉み洗いか。洗剤で血の汚れとかって取れるのだろうか。 などと、まるで主婦のような疑問の数々に頭を抱えていたが――しばらくして、ネットで調べてみれば良いということに気が付く。 まったく、便利な世の中になったもんだ。 早速ウェブページを検索してみようと、ポケットから携帯を取り出した。 その瞬間だった。 ―――ヴヴヴヴヴ まるで待っていたかのようなタイミングで、携帯が振動。 液晶画面に表示されたのは、 着信 From:DD 「…………」 一瞬で、全身から血の気が引いた。
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