【第二話】

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『破壊分野専門とはいえ、壊し屋の仕事は、幅広い。ほぼ便利屋と称しても過言ではないわ』 「judeccaと似てるな」 『それが問題なのよ。judeccaと類する仕事を、鴉麻万凶は、組織を作ることなく、全て一人でこなしている。……普通なら、まず有り得ないことだわ』 非合法かつ物騒な仕事を、全て一人でこなす。 それは、全てのリスクを一人で背負うということ。一つの失敗で、自身の崩壊に繋がるということ。 究極のデッドオアライブ。 成程、確かに。 最高にイカれてるぜ、小太郎君。 『たまにいるのよね、そういう人間は。常軌を逸した存在とでも言うのかしら。不可能なことを、何でもないかのように可能する。常識がまるで通じない。根本的に"何か"が普通の人間と違っている存在が』 DDの声が、冷たく。渇いたものとなっていく。 向かい合っただけで、圧倒されるというか。 根拠はないけれど、敵わないと思ってしまうというか。 良く分からないのに、絶対的だと感じてしまうというか。 そんな独特の雰囲気を放つ人間に、出会ったことがある人間は、少なくないだろう。 優れているのではなく、 劣っているわけでもなく、 ただ――何か外れている。 それが、鴉麻小太郎という人間か。
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