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『ちなみに常軌を逸していると言えば……』
DDが、思い出したかのように呟く。
「何だよ」
『とある筋からは鴉麻万凶には懸賞金もかけられているのよね。それも、一括で貴方の借金を完済できる程の法外な額が』
「マジか」
このご時世に懸賞金なんてシステムがあったことにも驚きだが……。
それ以前に、人一人に云億円って、何だソレ。
「……う、むぅ……。やっぱ凄いんだな、小太郎君って……」
『……京介』
DDの呆れたような嘆息が、耳に届いた。
『貴方は馬鹿であっても、決して愚かではない。私はそう思ってるわ。だからこそ、皆までは言わないわよ?』
「……わ、分かってるっつーの。金に釣られて、小太郎君に手を出す真似なんてしねーよ」
借金を完済できる程の懸賞金というのは、喉から手が出るような思いだが……そんなのは、自殺行為だ。
抵抗する間もなく、返り討ちにあって殺されるであろうことくらい、俺にだって分かる。
いまいち実感は湧かないとはいえ、小太郎君はそれほど危険な相手なのだ。
俺は彼に遭遇した時点で、本来なら殺されている身。
彼の気まぐれで見逃され、そして今もなお生かされている。
それだけで、もう十分だ。
それ以上は望まない。
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