【第二話】

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そして、内側から脱衣所の扉が開かれた。 そこに居たのは、まぁ、当然の如く全裸の小太郎君。全身が風呂のお湯で濡れており、髪の毛から、お湯が滴り落ちている。 人懐っこい笑みを浮かべた彼は、『じゃ、借りるぜ』と一言添えて、俺の手からバスタオルを受け取った。 ――たったそれだけ。 それだけの、数秒程度のやり取り。 だが、 しかし、 けれども、 「…………え」 "その数秒は、俺の思考を停止させ呆然とさせるには十分過ぎる時間だった"。 「…………」 「あ? 何固まってんだよ、おにーちゃん」 「……あ、いや。……その、あれ?」 「?」 巧く言葉が出てこない。 頭の中で発言のワードが固まらない。 そんな俺の様子を見て、小太郎君は怪訝そうに首を傾げたが、『変な奴だなァ』と言って、脱衣所の中に戻っていった。 扉が、目の前で閉められる。 取り残される俺。 「…………」 途端、膝から床に崩れ落ちる。 先ほど、脳裏に焼き付いた光景を思い出し、頭を抱える。 ――性欲に身を任せないようにね。 DDのあの言葉が幻聴のように、聞こえてきた。 ……うわぁ。 うわああぁぁぁぁ。 そういうことですか、DDさん。
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