不幸なハッピーエンド

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 その結果が  「いなかったんだよなぁ」  俺の魂にいたはずの神様が綺麗サッパリ行方知れずになっていたのだ。  みんな気を使って言わないようにしていたようだが、なんとなく分かる。  おそらく消滅してしまったのだろう。  それだけが心残りだ。  「初めは嫌だったのに、いなくなると寂しいもんだ」  他でもない自分のせいなのだろう。  確信はないけどおそらく。  「墓でも建てるか……」  供養してやる方法はそれくらいしか思いつかない。  今回の騒動に明確な意味での『悪』はいなかった。  どいつもこいつもまっすぐで、不器用で  あいつに言われれば「阿呆どもばかり」だったのだ。  その阿呆どものツケを払わされたのがあいつだった。  だから俺はこれを背負っていく。  あいつが名前を背負ったように、朧が『私たち』を背負ったように  このツケを少しずつでも返していきたい、贖罪とでも言うべきか。
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