不幸なハッピーエンド

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 「うっし、まずは身体鍛えるとこからスタートだな」  修行というやつだ当てならある。  そう決心して荷物をリビングに下ろしたところで  ―――――――――。  「あれ?」  微かだが水の音が聞こえた。  この家には現在、夜刀以外の住人はいない。  つまりは生活音の原因となりうるのは夜刀しかいないのである。  外の音かと思ったがどうやら家の中から聞こえている。  「ど、泥棒か……?」  足音を立てないようにゆっくりと音の方へ近づいていく。  神相手に臆せず立ち向かうくせに泥棒にビビッている。  どうやら音の原因は洗面所。  意を決して勢いよくドアを開け放つ。  「ん?」  そこにいたのは全裸の女性。  風呂上りなのか、まだ身体は濡れていて、少し癖のある黒髪が肌に張り付き、なんというか艶かしい。  「帰ったのか。ずいぶん遅かったな、待ちくたびれたぞ」  知り合いみたいに話かけてくるが、当然見覚えのない人物だ。
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