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「それでな……、お前に頼みがある」
「いいぜ、なんでも聞いてやる」
正直泣きそうなのを我慢している、もうこいつの言うことなんでも聞いてやっていいんじゃないか。
「そのな……、お前に………名を貰いたい」
「お前、それって確か…」
以前聞いた名前をつけることで縛る言霊。
神性を持つものにとって名前とは重要な要素であり、場合によってはそれに隷属しなければならない。
神霊や神獣が神に名を授かり、その忠義とするように。
それを夜刀に頼むというのだ。
「意味は分かっている、お前に従うつもりはないが………その、なんだ」
顔を赤らめ、二、三度頭を掻く。
「お前になら任せてもいいと、そう思った」
「………」
人生でこう何度も名づけ親になることがあるとは思ってもみなかった。
だが、これがこいつの望みなら聞いてやりたい。
「―――――神流(かんな)」
神が流れると書いて神流。
あの戦いで僅かにだが、確かにこいつの根底にあるものが視えた。
そのとき連想した「大きな流れ」というイメージから取っている。
あの時は必死で気にも留めなかったがそこにこいつのルーツがあるのではないだろうか。
「神流……か、お前にしては良い名だ。ありがたくもらっておく」
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