死にたがり

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もしかしたら、僕が一心に死にたいと思うのは、3人の所に早く行きたいと思っているからなのかもしれない。 …死んだところで、3人の下に行けると言う保証は無いけれど。 でも、少なくとも今よりは近い所に行けると信じている。 …いや、そう信じたい。 信じていたい。 もう1人ぼっちは嫌だから。 …そんな事を思い出しながら僕は、静寂の広がる本当に何もないリビングで早めの朝食をとる事にした。 もう1人で朝食をとる事は慣れている。 家事も全般こなせる。 家族が消えてからまだ間もないなら、多少の戸惑いや悲しみはあるかもしれないが、流石に10年も経てば嫌でも慣れてしまう。 第一、僕は物心ついた頃には、1人になっていたのだから。 勿論、伯父さん夫婦と暮らすと言う選択肢もあった。 でも、僕の本当の家族はもう居ない。 だから1人で生きていく事にした。 1人なら、いくら泣いても誰も見ていないから。
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