第1章

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「おい、聞いてんのかよ。」 「早く金寄こせっつてんだよ。」 入学早々、二人の不良に絡まれました。(しかも先輩) どうやらボクはとことん運から見放されているようです。 なぜって? そりゃもう、この学校に入学するという時点で不幸の始まりだったからだ。 ここ桜ケ丘高校は県内屈指のヤンキー校、不良が集う学校だった。 頭が悪かったボクは平凡かつ地味ながらもあえなくこの学校に入学。 先ほど行われた入学式では先輩方はいうまでもなく、肝心の1年生ですら半分以上がサボるという考えられない実態。 参加していたものも居眠りをするだけして、式が終われば遊びにいってしまい・・・ 結局、まじめに自教室まで行ったのはボクだけだったわけだが・・・ 「おチビちゃ~ん、いい加減早くしないと殴っちゃうよ?」 なぜか1年生の教室で煙草を吸っていた先輩方に絡まれ、絶賛喝上げ中だ。 なんて冗談を言っている場合でもないらしくて、一人の先輩がキレ始めた。 机をガンと蹴ったらしくて、教室に大きな音が響く。 これ以上機嫌を悪くされたら大変だと、あわてて鞄から財布を取り出すと、あっという間に取られてしまった。 「ちっ、3000円だけかよ、つかえねぇな。」 中身だけ取り出した不良はポイっと財布を投げてしまった。 「・・・あ、あの」 そろそろ解放していただきたいのだが・・ どうやら金額の少なさに不満があるらしい。 2人の不良は顔を見合わせて小さくうなずくと、ボクの腕を掴んだ。 「ちょうどよかった、今夜の生贄まだつかまえてなくてさ、お前がなれよ、な?」 意味が分からなかった。 ・
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