第1章

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髪の色は不良にしては落ち着いた黒だが、耳にはピアス、両手首にはジャラジャラとお洒落なリングを付け、学ランは着崩されている、モデルのような体格の男に思わず目を奪われた。 「…なんだよこいつ」 ボクの視線に気付いた修司が、鋭い目で睨みつける。 まるで他人を近付けないような、そんな目。 「ん?ああ、今日から僕らの奴隷の子だよ。修司と一緒の学校らしいけど、名前は?」 2人からの鋭い視線に恐怖で震え上がったが、なんとか落ち着いて言葉を繋げる。 「…あ、えと、佐藤悠です。」 ああ、もうやだ。 誰か助けて。 泣きそうなのをこらえていると、 「…殴らせろ」 低く恐ろしい声が部屋に響いた。 「修司、まだ殴り足りないの?」 思いも寄らない一言に槙は思わず眉を潜める。 別にこの奴隷が殴られようと構わないが、最近機嫌が悪い修司はずっとこの調子で正直不安だと、槙は感じ始めていた。 「別にかまわねぇだろ、奴隷なんだから。」 言いながら此方に近付いてくる修司に、ボクは背をドアに預けたまま動けなくなっていた。 脳裏によぎったのは先程の血だらけの男の子。 まさかボクもあんなに…恐怖でがちがちになった体は動くことも出来なかった。 「……こういう奴が一番大嫌いなんだよな。」 強い衝撃に体は吹き飛んだ。痛いなんてもんじゃない。目から涙がこぼれ落ちる。 「…ちっ」 舌打ちとともに修司はこの部屋から出て行った。 動かない体を必死に起こしていると、槙の大きなため息が聞こえた。 「手加減もしないなんて修司らしいけど…大丈夫?」 殴られたのは頬。 骨まではいってないが、腫れているみたいでズキズキしている。 「…まあ修司がこれくらいで済ませたのは何かの運だね。」 それだけ言うと槙もボクが買い出しに行った荷物を手に、部屋から出て行った。 .
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