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あの日を境に一転したボクの人生は、確実に暗闇へと追い込まれていた。
安堵な学校生活などここでは無理だろうと、それくらい入学する前から覚悟はしていた。
だからなるべく影を薄くして過ごそうと、決めていたのに。
逆に目立つ存在になってしまったのは、あの2人の先輩方が学校でもボクを奴隷として扱うようになったからだろう。
昼休み前の授業の終了を知らせるチャイムがなったのとほぼ同時にボクは席を立つ。
周りからの鋭い視線を感じながら教室からでて購買へと向かう。
それがこの頃のボクの日課となっていた。
「おせぇーよ。」
立ち入り禁止の屋上でフェンスに寄りかかって煙草を吸っていた2人に、購買で買ったものを差し出す。
2人はひったくるようにそれを奪い、パンにかぶりついていた。
「そーいやさ、最近修司さん店に顔だしてねぇーよな。」
近藤と呼ばれる方の不良がふとそう呟くと、夏目も静かに頷いた。
「また女遊びに夢中じゃねぇかって、槙さん言ってたケドよぉ」
どうもそんなことが度々あるらしい。実際ボクも、一発殴られたあの日から修司と呼ばれる男に出会うことはなかった。
「いーなぁ、俺も女と遊びてぇ。」
「修司さん並みにモテたら最高だよなぁ」
2人の呟きがどこか遠くで聞こえるように感じ、ボクはただ殴られたときの痛みを思い出していた。
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