イリアさん

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 その痛みを抱えながら、彼がまた人間を襲った後。 『彼女』は突然現れました。 血塗れの姿で立ちすくむ彼の前に、まだ幼さの残る少女はひょっこりとやって来たのです。 そして興味津々に彼の事を見つめると、やがて少女は口を開きました。 『ねぇねぇ兎さん。あなたのお名前は何て言うの?』 そう言って向けられた表情は、彼が今までに一度も見たことがない、優しくて柔らかなものでした。
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