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薄くなってく視界。
ぼんやりと彼女を眺め、彼女の手元を眺め。
眺め、眺めて。
「!!」
いや、待て。
「駄目だ!」
僕の手が反射的に彼女の手へと伸び、その動きを阻止しようとする。
彼女はそんな僕を見つめて、にやにや笑った。
「人が作ってくれたご飯には調味料をかけない、でしょ?」
彼女の視線で僕は濃さを取り戻していく。
ゆっくりと、じんわりと。
彼女は食べるラー油が好きで、彼女が食事当番の時は結構かけて食べている。
僕は食べるラー油なんか嫌いだ。
辛くなければラー油じゃないし、あんなのが人気なのは理解できない。
「おかえり」
「ただいま」
ただ、今日も僕はアレに助けられてしまった。
確かこれで四回目。
……かけてみようかな、気が向いたら。
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