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「――以上で終わりだわ」
「…………」
「あら、どうしたの?」
「……💤」
「…………」
少女は静かに眠るもう一人の少女の方まで歩み寄ると、思いっきり頬をひっぱたいた。
「痛っ!?何するのよ!」
「それはこっちの台詞よ。あなたが話してって言ったから折角話してあげたのに、徒労にも付き合わされたこっちの身にもなってほしいわ」
「……ごめん」
少女の一喝を受けた彼女は、痛む頬を擦りながら素直に謝った。
「分かればいいわ。あなたのマイペースは今に始まった事じゃないもの。……あ、いけない。もう夕方じゃない。お家に帰らないと」
「本当だ。もうそんなに経っていたんだ」
窓を見やれば、空は赤く染まっていた。
二人は急いで小屋から出て、それぞれの場所に戻るべく広い草原を歩き始めた。
しかし、二人の少女の姿は人ではなかった。
猫である。二匹の猫が歩いていたのだ。
一匹は茶色の毛並みをした猫。
そしてもう一匹は、クリーム色が混じった白猫が隣で仲良く歩いていた。
――END――
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