猫と殺人鬼

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『――では、次のニュースです。今朝、公園の池の中で、無残にも切り刻まれた猫の死骸を発見しました。 今月に入って五匹目。証拠もままならないまま捜査は続くもようです』 ニュースキャスターの女性の報道が終わるのと同時に、テレビ画面がぷつりと切れる。 ソファーの上で寛いでいた男は、さも退屈そうにガムを噛みながらリモコンを無造作さにテーブルの上に放り投げた。 男は毎日が退屈で仕方ない。 余りにも日常が退屈過ぎてイラついていた。 だからこそ男は、犯罪に手を染めた。 日常の中で本来あってはならない罪に触れてしまった。 きっかけは、昔付き合っていた恋人の猫だった。 恋人に突然別れを告げられ、怒りが抑えられないあまり、恋人が大事にしていた猫を殺した。 頭と胴体を切り落として、それを玄関の前に置いた。 すると、恋人はヒステリックに悲鳴を上げて泣きじゃくり出して、それを遠くに眺めて何処か恍惚感を覚えた。
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