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「な、何だこれは!?」
男は絶句した。猫を追いかけているのに夢中になっているうちにいつの間にか自分の家の前に立っていたからだ。
しかも、その家の周りには無数の猫たちが男を囲んでいく。
「ヒィッ!!く、来るな!寄るな!」
男はナイフを振り回しながらも玄関前までやって来て、ドア開けようとしても何故か開かない。
「何で開かないんだよ!……ひっ!く、来るな!何だよ……何なんだよ!!」
――猫の怨念はもっと恐ろしいわ。
ふと、あの少女の台詞が脳裏に過った。
「ミャ~オ~」
一度停止しかけた男の意識を戻したのは、一匹の低い猫の鳴き声。
男は確かに見た。殺したはずの、クリーム混じりの白猫が男を凝視するのを。
「――――――――――――!!!!」
男の悲鳴は、闇夜に混じって消え去っていった。
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