第一話~捜索開始~

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第一話~捜索開始~

「えっとー……気になる猫ちゃんがいるっすよ」 カチャカチャ。スパゲッティの皿をフォークでつつきながら、女の子――臼井 白(うすい しろ)というらしい――が言った。 「それで?……どうでもいいけどお前、食べるの下手だなおい」 「うぅー、言わないで欲しいっすよ!」 白の叫びが、ファミレスの店内に響く。とはいえ、今は日曜日の昼時。相応の賑やかさで満たされていて、白の叫びが周りに迷惑をかけてはいなさそうだが。 「や、そのー、私手先が不器用でしてねー」 「うん、見れば分かるけど」 なにしろ巻けてない。フォークに麺が絡んでない。添えたスプーンも役目を果たしていない。結局、 「ちゅるるる……」 麺をすすっては、照れ臭そうに俺を上目使いで見てきやがる。はしたないとでも思って気にしているんだろうか。 「あのさ。別に、気にしないで好きに食べなよ。格式高いところじゃないんだからさ」 「あ――えへへ」 嬉しさ半分、照れ半分な笑顔を浮かべた白は、「ではでは、遠慮なく」とフォークを置き、箸を手に取った。 そうして箸を駆使し、ラーメンとかを食べる要領でスパゲッティを口に運んでいく。まぁ、あんまり行儀はよくないのかもしれないけど、 「ん~、美味しいっす♪」 「そう。よかったな」 やっぱり、食事は気楽にしないと損だと思わせる笑顔だった。 「で、話を戻そうか」 まあ、逸らしたのは俺なんだけども。 「気になる猫がいて――それで?」 促し、答えを待つ間に、目の前のハンバーグを口に運ぶ。……うん、美味い。というか、美味くなくちゃ困る。高校一年生、おこづかいで日々をやりくりする少年――つまり俺には、ファミレスのハンバーグでも結構な打撃だ。経済的に。これで美味しくなかったら、目も当てられない。 ちなみに白は、中学の二年生と言っていたから、もっとダメージなんじゃなかろうか。財布に。
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