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「ふぅ……」
帰宅し、ベッドに横になる。本屋に雑誌を見に行くだけのつもりだったのに、思わぬ事態に巻き込まれてしまった。
「いや……巻き込まれにいったのかな」
苦笑する。木から降りられなくなっている白を助けたのはともかく、その後の展開には俺の意思が働いているのを否定できない。
ファミレスに白を誘ったこと。会話を引き伸ばしたこと。そして――
――いつまで猫を追いかける予定なのか、と尋ねた俺に。
「ん~……私の学校、明日から春休みなんすよねー。なんでとりあえず、休み一杯は頑張ろっかなー、って思ってるっす」
そう、答えた白。そんな彼女に対して、
「……俺も、明日から春休みなんだよね」
自然と、そう切り出していたことや。目を丸くする白に、
「だからまぁ、手伝ってもいいけど」
なんて畳み掛けたことは、もう、完全に俺の意思で。
巻き込まれた、なんて受動的なものでなく。
能動的に、自ら望んで、巻き込まれにいっているのは明白だ。
「……なんでわざわざ、首突っ込んじゃったかな」
なんて、自分に呆れてみるものの。その答えが、胸の奥底にあるような予感は誤魔化せなくて。
「ま、なんでもいいか」
思考を切り上げるべく呟いて、あの後しっかり立ち寄った本屋で買った雑誌に目をやった。
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