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「あー……そう」
「は、はい……」
消え入りそうに頷いて、そのまま俯く白。……あぁもう、なんでそんなに、素で恥ずかしそうなリアクションをしているのか。毎度、平気でその類いの冗談を言うくせに。……可愛いじゃないか、ちくしょう。
「そ、それで……」
「ん?」
上目使いに胸を高鳴らせてしまうが、平静を装い、促す。
「ど、どう……っすかね?」
「…………」
ここで、『なにが?』と尋ねるほど野暮ではない。けれど、反射的に『可愛いよ』なんて言えるほど気障でもない。ので、改めて、白の服装を眺めてみる。
ピンク色を基調にしたプリントTシャツに、デニム生地の上着。シンプルな組み合わせだけど、白の明るいイメージにはぴったりだと思う。
それに、ショートパンツが快活な印象を強めている。露になる白い太ももが、こう……なに、眩しくて。
「まぁ、その……」
咄嗟に思い浮かぶ言葉が二つあった。さてどっちを口にしようと悩むも、
「…………っ」
緊張に瞳をうるうるさせながら、けれど、期待を込めて白が見つめてくるものだから、
「なんだ……可愛い、し……似合ってるんじゃ、ないの」
気がつけば、両方とも口から出ていた。……うぅむ、ついさっき、自分は気障ではないと思ったばかりなのに。なんか恥ずかしいことを言ってしまった気がする……っていうか、顔が熱いのは春の陽気のせいではない気がしてならない。
「あ……!」
そして、そんな俺の気の迷いにも似た本音に、白はパアッと顔をほころばせて、
「あ、ありがとうございます……っ」
嬉しそうに、恥ずかしそうに、そう言った。その仕草が、たまらなく可愛く見えたりして……昨晩の『なぜ首を突っ込んでしまったのか』という自問の答えは、とっくにあるような気がしてならなかった。
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