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そんな無能であろう衛兵に憤りを感じるが、私は私の職務を全うしなければ。
その思いは無駄にならず、二人の人間が門へと近づいてくる。
さて、仕事の始まりだ。
「待たれよ。見たところ此の街の住人ではない様だが、何をしに来たか聞かせて頂こう」
一人は目の焦点があっておらず、ヘラヘラと笑っている。
もう一人は何かをブツブツと呟き、やたらと薄汚れた格好をしていた。
……少し怪しいか?
「へへっ、俺達はよぉ!ボランティアしに来たんだよ!居るだろ?この街にも困ってる人間が!そいつらの助けになってやろうって訳だ!」
ぼ、ボランティアだと……!?
なるほどな。
「それは大変失礼な事をした。さぁ、はいって下され」
「お、おう!悪ぃな!!」
そそくさと入っていく二人組。
全く、人は外見によらぬものだな。
『オラオラァ!!!!全員ぶっ殺してやるゼェエ!!!!』
あの二人組が入っていってから数分後、中から怒声と銃声が響く。
「ま、まさか!?またもや城の囚人が脱獄したのか!?」
昨日に引き続き、何という事なのか。
これだから、温室育ちの衛兵は困るのだ。
『恨むんなら、あの馬鹿すぎる門番を恨むんだなァ!!』
「な、なに!門番だと!?……馬鹿なのは貴様の方ではないか!門番ではなく守衛の間違いだろう」
ああっ!
衛兵達は何をやっているのだ!!
私は此の場を動けぬのだから、貴殿らが捕らえてくれねばならぬというのに!
このままでは勘違いした暴徒の言葉のせいで、私が無能だと思われてしまうではないか!!
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