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場に静寂が訪れ、各々流れる風に吹かれながら静かに佇んでいた。
命を落とし掛けた男は死の直面に瀕した際、自分は死ぬと覚悟した為に、そのショックで気を失ってしまっていた。
パットは自分を守ってくれた男の容態が気になり、少女の手を取っておもむろに歩き出した。
無論、少女の心に傷を負わせぬよう、考慮して惨殺され遺体となった男が見えぬよう、側面に立ちながらである。
「オッサン、眠ってんのか? おい生きていたら返事をしてくれ!」
パットの問いに男は微動だにしないまま反応を示さない。
「おじちゃん、お兄ちゃんがおはようだって、起きてよう」
少女の言葉にも反応しない。肩でも揺すって強引に起こそうとしたその時、パットの目の前に奴が現れた。
「小僧、僕にヤらせてみせろ、僕の拳はこういう時でも活用できる!」
裸体のヘンジロウが眼前で膝を付けて中腰になった瞬間、少女はその醜態を見て突然泣き出した。
「……うえぇぇん、うんこがあぁぁっ、はれんちがあぁぁっ」
途端、パットはしまったと顔をしかめ、ヘンジロウは不思議そうな面持ちで疑問符を頭上に掲げていた。
パットは涙を目一杯に溜めて泣く少女をよしよし大丈夫と宥めながらヘンジロウを毅然と睨み付けた。
「ヘンジロウっつったっけ、あんたそもそも何で服着てないんだよ! 変だぜ!」
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