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「ば、バカな!? 私の攻撃が一発も当たらないなんて……」
驚愕の面持ちで唇を震わすアナリュー。見据える先の闇に、鋭く光る眼孔が二点。
その持ち主は一歩一歩、緩慢な動きで徐々に暗い空間の中から姿を現した。
――ヘンジロウである。
パットはヘンジロウが現れた瞬間、とっさに少女の目を手のひらで覆った。
幼い少女の目を汚さない為である。
相も変わらず全裸で、しかも内股で登場。ヘンジロウよ……お前はいつになったら服を着るというのだ。
「おい、変な野郎が出てきたぞ!? しかも服着てねえ、全裸だ!」
「露出狂だ! こりゃオカマの副隊長とタメ張るぞ!」
そんな男達の中傷も聴こえないのか、ヘンジロウは依然内股のまま、無表情でアナリューに近付く。
前まで来ると、ヘンジロウは悠然と人差し指をアナリューに向け、淡々と言い放つ。
「貴様は真の真摯征拳の使い手ではない! 紛いもの、模倣された我流の拳法だ!」
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