地獄以外の何物でもない

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 みよりに蹴られて自室から追い出され、ビクビクしながら階段を下る。  にしてもなぜデート? 不機嫌が怒りに変わるのが目に見えてるんだけどな。  なるべく音を立てないようにドアを開ける。 「夏希・・・・・・さん、いますかー?」  いや、そりゃいますよね。あれだよ、最初からアッパーは使えないでしょ。ひたすらジャブだよジャブ。  ソファーの背もたれから夏希の後頭部が見える。 「本日は・・・・・・御日がらもよくですね」  『健一はふざけてるです?』  だから、ジャブだよジャブ。  それも軽く触れる程度だけどね。 『さっさと隣に座るです』   それは僕に死ねってことかな?  ただ、勉強という人質を取られている以上僕に選択肢はない。  それにいつもと違う行動してみて、なんらかの反応があれば上々だよね。  いつもなら「キモい」って食い気味で言うはずだ。  自然と喉が鳴る。僕は意を決して夏希の隣、しかも拳一つ分という間隔で座ってみた。  さあ、キモいでも死ねでも鬼畜でもどんとこい!   僕を罵倒しろ!
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