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・・・・・・いや、ただの英文ですよ。
ただの英文は僕にとっては複雑な暗号なわけで、学力の低さが露呈しちゃうんだけどね。
僕が頭の中で言い訳していると、悪魔・・・・・・英語の先生がため息をついた。
「はぁ、大沼。この英文、確かに訳しにくいけど、一度授業でやったじゃない」
英語の先生の名前は山本里穂先生。
切れ長の眼に、赤縁眼がね。レディースーツの中に隠れている魅惑ボディで男子生徒のアイドル・・・・・・らしい。
まあ、リリちゃん一筋の僕は関係ないんだけどね。
ただ、このままだと本当にまずいな。
「え、えっとじゃあ先生。質問いいでしょうか?」
「・・・・・・いいわ。言ってみなさい」
「彼女は何処に行っちゃったんですかね?」
「・・・・・・はぁ」
え? 何でため息?
だって'gone'ってあるじゃん。'go'の過去分詞でしょ。そこは間違ってないよね!
でも、これは間違いらしい。クラス中から笑い声が漏れている。
そんな笑い声を掻き消すかのように終わりのチャイムがなる。
「今日はこれまで。大沼はあとで職員室に来るように」
うん、やっぱり地獄以外の何物でもない。
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