new moon

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 手を伸ばして、折り畳まれた紙を拾い上げる。  手帳を破いたのか、端に穴が規則的に開いた紙には、真ん中に11桁の数字。 『0903763―――』  妙に丁寧な字で書かれたその数字の羅列は、現代人なら誰でも馴染みのあるもの。  なにこれ。誰の?  記憶を巡らせてみるも、こんな紙をもらった記憶は見当たらない。  仕事用のカバンだから、仕事関係の人だと思うけど。 「あ、やば」  腕時計が遅刻ギリギリの時間を示していて、慌てて立ち上がる。  それをくしゃっと握り締めて、バッグの内ポケットに突っ込んだ。
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