回転体とピタゴラス

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  そんなわたしの疑問を読み取ったのか、彼が口を開く。 「俺、3年生」 人差し指で自分を指しながら軽く首を傾げるセンパイ。 ふわり、漆黒の髪が揺れる。 ドックン。心臓の音が聞こえた気がした。 「わたし、2年です」 センパイを真似して言ってみた。首を傾げるというオプション付きで。 あぁ、なんか、絶対可愛くない。自分でやって後悔した。 「うん、知ってる」 クスクスと口を隠しながら笑うセンパイ。 袖から紺色のセーターが見えた。 「ここ、2年生の教室だしね」 また首を傾げわたしを見るセンパイ。 うわぁー。その笑顔反則デスヨ。  
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