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「そんなに我慢しちゃうとお仕事に障るんじゃないの?」
あの時そう私に告げた由宇紀の心配は尤もだと思う。
だが、その後に小さい声でちょっぴり嬉しいけどと言ったのを聞いてしまえば何が何でも我慢しようと言う気にさせられてしまうのだ。
これはお土産と言って小さな箱から出したチョコレートケーキを皿に乗せ、フォークを添えて私に渡しながら嬉しそうに笑う愛しい人の顔を思い出しながら頬杖を付くとつい溜息が漏れてしまった。
「何?どっか具合でも悪いの?」
先程まであんなにご立腹だった我が君が今にも泣きそうな顔で私の事を見詰めていた。
「いや、何でもない。
気にしないでくれ」
その言い方が気に入らなかったのか、由宇紀は少し膨れてしまった。
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