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「君、大丈夫か!? ここは危険だ、魔獣が来る前に早く逃げなさい!」
鉄の鎧に身を包んだ男はそう言うと、数人の兵を連れ前へ進んで行く。皆、剣と盾を装備していた。これからあの恐ろしい獣と戦うつもりなのだろう。
「……魔獣」
少年は男の言った言葉で気がついた。
あれが“魔”獣なのだと。
危険区域と呼ばれる土地に存在している、それは書物で得た知識としてあった。
だが、今目の前に突きつけられた現実は、書物で見るそれとは訳が違う。
本当の恐怖というものを、少年はこの時初めて知った。
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