ー憑恋ー

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※ 「起きろ……。起きろ……。」 昨日の夜、不意に声がした。 女性の低い声が自分の顔の上から聞こえてきた事があるか? 考えるだけでゾッとするだろ? 「起きろ……。起きろ……。」 まだ女の声は終わらない。 いつになったら止むのか、本当に嫌気がさしてくる。 そして、毎日そんな声を聞きながら俺は眠りにつく。 眠れるだけ幸いだと自分でも思う。 しかし、目覚めは悪かった。 あんな声が聞こえながら寝るのだから嫌気がささないはずがない。 そして、俺は体を上げトイレに向かう。 これは毎日の日課。 そして何故か鏡を気にしてしまう。 ナルシストにでもなったのかと思ってしまう。 トイレを出てすぐのところに掛けてある鏡に目をやる。 そして、前髪を整える。 整え終えると鏡から目を逸らした。 「あれっ?」 気になるものがあった。 なのでもう一度、鏡を覗いてみる。 その瞬間、俺は体から血の気がひくのがわかった。 背後に誰かがいる。 すぐさま後ろを振り返った。 「だ、誰だ!?」 そこには、白い服を着た髪の長い女性が立っている。
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