胸を模る猫と鸚鵡

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カーテンが大きくめくれ上がり。風と月が冴え冴えと語りかける。私は助けを求めて、胸元のブローチを強く握り締めた。 熱い。ブローチが、熱い。 指の隙間から、乳白色の獣が飛び出した。窓辺のオウムに、影は素早く躍りかかる。 ぎゃあギャアぎゃあ、低音と甲高い叫びが交互に入り混じり、白く冷たく舞う羽毛。飛び回る乳白色の閃光。 オウムに前足を振り下ろす影は、長い尻尾を持つ、猫の形をしていた。 「わざわざ頼みを聞いてやったのに、これが返礼か!」 「井戸に潜った程度の恩で、人を娶ろうなどと。過ぎた願いを口にするからだ、去れ!」 猫の爪にひどく殴られたオウムは、よろめきながら夜空に浮かび上がり。悔しそうに太く一声鳴き飛び去っていく。
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